ジャカルタ出張のランチ、連れて行ってもらったお店が最高でした
Des & Dan SCBDはインドネシアでも希少なアゼルバイジャン料理レストランとして、地中海・中央アジア・トルコ料理を融合させた独自の地中海料理を提供しています。ジャカルタを代表するハイエンドなビジネス街SCBDの中にありながら、内装も地中海・中東の雰囲気がしっかり出ていました。アゼルバイジャンとトルコは地理的・文化的に隣接しており、料理の共通点も多いため、メニューに両国の料理が自然に混在しています。Google Mapの評価は4.9と非常に高く、地元でも評判のお店です。
地中海料理とは、実はギリシャ料理も同じ文化圏
まず地中海料理について少し。地中海料理とは特定の国の料理ではなく、イタリア・ギリシャ・スペイン・モロッコなど地中海沿岸地域に共有されている料理文化の総称で、オリーブオイル・ワイン・魚介類・トマト・ニンニク・ハーブ類・小麦などを多用するのが特徴です。
個人的にギリシャ料理も大好きで、以前のブログでもシリコンバレーで訪れたパロアルトのギリシャ料理レストラン「Evvia」について書いたことがあります。ヨーグルトを使ったり独特なスパイスで素材を活かす調理法、今回のDes & Danを食べて、あのときの感覚と重なるものを感じました。同じ地中海という「海」でつながった食文化だと実感します。

2010年にイタリア・スペイン・ギリシャ・モロッコの4カ国が「地中海の食事」としてユネスコ世界無形文化遺産に登録し、2013年にポルトガル・クロアチア・キプロスが追加登録されました。和食と同じく、料理そのものではなく食文化・生活習慣全体が評価されています。
さらに近年の研究により、地中海式食事法は脳卒中・心筋梗塞・がん・糖尿病などの生活習慣病のリスクを低下させるだけでなく、長寿につながる効果が期待されているとのことで、おいしいだけでなく体にも嬉しい料理スタイルです。
今回のDes & Danは厳密にはトルコ・アゼルバイジャン料理ですが、同じ地中海・中央アジア圏の食文化を共有するお店です。実は2022年にアゼルバイジャンのバクーで開催されたBaku ID Summer’22に登壇したことがあり、この地域の食文化には以前から縁があります。
頼んだ料理、ケバブ!

シンプルなビーフケバブ、玉ねぎサラダ・焼きトマト・青唐辛子・赤いソース添え。余計なものは何もない、肉とスパイスだけで勝負するスタイルが好きです。

チキンケバブをサフランライスと一緒に。サフランの香りがケバブの旨みと絡まって、思っていた以上に上品な味わいでした。サラダに添えられていたレモンをケバブに絞ってみたら、これがまた一気に締まります。

今回のハイライトがこちらです、1品目と同じビーフケバブが主役ですが、提供スタイルが全く違います。炭火で燻したナスをピューレ状にしてニンニク入りヨーグルトと合わせたクリーミーなソースの上にビーフケバブを乗せ、溶かしバターとハーブをかけて仕上げたトルコ・ガジアンテップ発祥の料理です。同じ肉でも全く別の料理に変わる、これがアリナジックの面白さです。

16世紀から現代まで受け継がれてきたこの料理が、アゼルバイジャンとトルコの食文化的な近さを背景に、ジャカルタSCBDのDes & Danのメニューに自然に組み込まれているのも頷けます。
ヨーグルトソースが絶品だった
今回一番印象に残ったのがアリナジックのヨーグルトソースです。スモーキーなナスとガーリックヨーグルトの組み合わせが絶妙で、クリーミーでありながらセイボリー(塩味・旨味)が際立つのが本場のスタイルです。
他で地中海料理やトルコ料理を食べたとき、ヨーグルトが妙に甘かったり風味が薄かったりすることがありました。Des & Danのヨーグルトソースは違う。ナスの燻製感・ニンニクの香り・ヨーグルトの酸味が絶妙に重なって、甘さは一切ない。ケバブと一緒に口に入れた瞬間「これだ」となりました。気づけば会食中にもかかわらずリピートオーダーしていました(笑)。
また行きます!
次回ジャカルタに来たときも絶対に再訪します。SCBDでのランチ候補として、覚えておくべきお店です。
アリナジックはもともと、オスマン帝国時代にトルコ南東部ガジアンテップで生まれた料理です。燻したナスとヨーグルトの組み合わせは、中東・中央アジア一帯に共通する「乳製品で肉の力強さを包み込む」という料理哲学の体現とも言えます。アゼルバイジャン・トルコ・ギリシャ・モロッコ、国も言語も違うのに、食の哲学はどこかで重なっている。Des & Danで3品を食べながら、地中海から中央アジアにかけての食文化の豊かさをあらためて実感しました。「地中海料理」という一言では括り切れない奥行きが、一皿の中にある。
ジャカルタという東南アジアの都市で、アゼルバイジャン・トルコ・ギリシャ・モロッコの食哲学が一堂に会している、それ自体が面白い。食文化は国境を軽々と越えて、気づけば地球の反対側に根を張っている。Des & Danで食べながら、「美味しいものは必ず旅をする」という当たり前の事実をあらためて実感しました。
Des & Dan SCBD
営業時間:月〜金 10:00〜21:30 / 土日 10:00〜22:00
SCBD Lot No.7-1 5, RT.5/RW.3, Senayan, Jakarta Selatan