新しい国の空気に触れるマカオ

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最後に「行ったことのない国」を訪れたのは、2022年12月のポルトガルでした。あのときはコロナ禍の影響もあり、行動がだいぶ制限されていましたが、それから約2年半あまり、多くの国を行き来することはあっても、訪れたことのある場所ばかりでした。

マカオには何度も行く予定を立て、計画もしていましたが、なぜかいつも直前で流れてしまいました。予定がずれたり、体調を崩したり、仕事が重なったり・・・香港には何度も行っていたので地理的には近いのに、精神的にはどこか遠いままでした。

今回の移動は、香港から港珠澳大橋を利用してバスで渡るルートでした。正直なところ、ちゃんと香港からマカオに行けるのかドキドキしながらバスに乗り込みました。橋を渡ると、国境の雰囲気が徐々に変わっていくのを感じながら、ここが別の場所であることを実感しました。

今回、ようやく訪れることになったのは先月のBeyond Expo 2025での登壇のためでした。少し早めにマカオ入りして街並みを見たり探索したいと思っていましたが、当初予定していた2〜3日の滞在は、東京でのミーティングやイベントの都合でフライトを2回変更することになり、結果的に滞在時間はわずか31時間の弾丸出張。

あらかじめ決まっていたBeyond Expo 2025のセッションに加え、急遽モデレーターを務めることになったセッションもあり、終日イベント会場で過ごし、移動中は外の景色を少し眺める程度で、ほとんどスマホの画面と睨めっこしながら電話会議をしていました。さらに、予定変更のため深夜にバスで香港に戻り、早朝に北京へのフライトに乗り継ぐことになりました。

久しぶりに「行ったことのない国」に足を踏み入れた感覚は新鮮でしたが、結局は何も体験せず、いつものようにパツパツのスケジュールをこなすだけの海外出張となりました。

マカオは長い間ポルトガルの領土だった歴史を持ちます。街を歩けば、ポルトガル語の表記がそこかしこにあり、異国情緒が漂っています。たまたま見かけたビルはまるでロンドン駅のようなクラシックな佇まいで、「The Londoner Macao」という大型複合施設で再現力が高く、いつも飛び回っているので一瞬ロンドンにいるのかと錯覚するほど象徴的な建築でした。バスもロンドンバスのような赤い2階建てで、異国の趣を感じさせます。

ホテルの部屋からはエッフェル塔のようなタワーも見えました。「The Parisian Macao」という施設にあるこのエッフェル塔は、パリの約半分の高さ(約160メートル)で忠実に再現されています。マカオでは、まるでイギリスとフランスの両方を訪れたかのような気分になれるのが面白いですね。笑

31時間の滞在で唯一ゆっくり味わえたのは、W Macauホテル – Studio City 40階にあるDIVA(ディーバ)での食事でした。モダンな広東料理を提供しており、伝統的な広東料理に現代的なアレンジを加えた料理が特徴です。そこで食べたのは鳩の料理、個人的に大好きな「新栄記(Xin Rong Ji・シンロンジー)」と比べて75点くらいの出来でしたが、唯一ゆっくり味わえた食事となりました。

マカオ出張のあとの経由地・北京では、迷わず大好きな「新栄記」をリクエストして会食のレストランとして選びました。お目当てはもちろん、小鳩の香揚げ。何度食べても、やっぱりこの店の鳩は特別です。

新栄記で使われているのは、13日間だけ育てられた鳩。一般的に他の店では18〜20日育ちの鳩を使うのに対し、こちらは小ぶりながらも肉質が繊細で、旨味が詰まっています。干しエビや貝柱を使った秘伝のタレに18時間かけて漬け込み、乾燥させてから丁寧に揚げる──その手間ひまが、芳醇な香りと奥行きのある味わいを生み出しています。

ひと口かじると、パリッと香ばしい皮の下から、驚くほどジューシーな身が現れ、旨味がじんわりと広がっていく。食べるたびに「やっぱりここに来てよかった」と実感する、そんな幸せな一皿です。

あと、「新栄記」にてこれまで名前すら聞いたことがなかった果物「杨梅(ヤンメイ/山桃)」を初めていただきました。見た目は赤紫色のラズベリーのようで、表面は少しザラッとしています。試しにひと口かじってみると、甘さと酸味のバランスがとてもよく、美味しい…!

杨梅は中国南部でよく食べられている果物で、英語では「Chinese bayberry」や「waxberry」とも呼ばれています。果肉はやわらかく、中心に種が一つ。水分が多くてとてもジューシーなのですが、そのぶん鮮度が落ちやすく、日本ではなかなか出会うことのない果物なのだそうです。地元では夏の定番として親しまれていて、屋台や市場でもよく見かけるとのこと。

少し話が脱線して北京のことにも触れてしまいましたが、やはり今回のマカオ滞在はあまりにも短すぎました。また機会があれば、今度こそゆっくりと、マカオの街と文化をじっくり味わいたいと思います!

マカオ・澳門は中国の特別行政区で、1999年までポルトガル領だった歴史を持ちます。街中にはポルトガル風の建築や石畳が残り、ポルトガル語表記も多く見られます。一方でカジノを中心とした統合型リゾートが発展し、歴史とエンタメが共存するユニークな都市です。

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この記事を書いた人

ryoのアバター ryo 何でも屋

10年間にわたるフィリピン滞在を経て、上智大学・比較文化学部を卒業。学生時代から様々な事業の立ち上げに携わり、サラリーマン、起業、国内+外資系企業社長、取締役、顧問、株主などをスタートアップ及び上場企業で経験。

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