
2026年7月末をもって、株式会社ベクトルを退職しました。2024年5月に参画してから、2年3ヶ月。あっという間でした。
そもそも入社したきっかけは、3回目の起業を準備していたタイミングでいただいたご縁と、恩返しの想いでした。以前、自分が困っていた時に出資してもらった、その恩を返したい。そう思って飛び込んだ2年3ヶ月でしたが、振り返ってみると、返すどころか、もらってばかりだったなと思います。
8つの国と地域、30回以上の登壇
在籍中は、新規事業開発本部(途中から海外戦略本部に変更)と海外M&A本部を兼任させてもらいました。PRovokeの2024年ランキングで世界6位のPR会社が、世界1位を目指す。その海外戦略の一端を担わせてもらったわけです。
数えてみると、2年3ヶ月で登壇・講演は30回以上。インドネシア、シンガポール、中国、マカオ、タイ、韓国、アメリカ、そして日本と、8つの国と地域のステージに立たせてもらいました。Beyond Expo、ICCO Global Summit、TEAMZ SUMMIT、S-Tron上海、Advertising Week Asia、Endeavor Japan Summit、500 Global、SusHi Tech Tokyo。大学での講義も、米国のVCU School of Business、West Virginia University、California State University、Texas A&M International University、Salem State University、University of South Dakota、Suffolk University、そして上海のCEIBSや母校の上智大学と、9校で話をさせてもらいました。
何百回と、世界中でベクトルという会社を紹介してきました。ファミリーオフィス、機関投資家、政府の要人、現地企業の経営陣、スタートアップの起業家。フライトに乗りまくり、予定を詰めまくり、何百人もの経営者に会ってきた2年3ヶ月でした。
寝不足の日々でしたが、とにかく人に会う。それを続けたことで信用してもらえるようになり、本当にビッグな人たちと、心から仲良くなることができました。これは、画面越しでは絶対に手に入らなかったものです。
やり残したこと
もちろん、思い描いた通りにいったことばかりではありません。
実現に向けて何ヶ月も走り続けた案件を、最後まで形にできなかった。毎月のようにインドネシアへ通い、本気で取り組んだつもりでしたが、届かなかった。これは純粋に、自分の力不足です。
今年の春からはインドネシアに住む予定で、荷物も現地に送っていました。それが白紙になった時の悔しさは、今も忘れられません。この悔しさは、次の挑戦に持っていきます。

ベクトルで学んだこと
この2年3ヶ月で得たものを、特に若い起業家の方に向けて、いくつか書き残しておきたいと思います。
PDCAの速さと回数がすべて。 海外案件だからといって、ゆっくりでいい理由にはなりません。むしろ逆です。距離があるからこそ、意識的にスピードを上げないと物事は前に進まない。回した数だけ、精度は上がります。
言い訳をしない、責任を取る。 「時差が」「文化が違うから」「先方の反応が遅くて」。言い訳の材料はいくらでも転がっています。でもそれを言い始めた瞬間に、案件は死にます。自分で責任を取る覚悟がある人のところにしか、大きな話は来ません。
しつこくていい。勝つまでやめない。 遠慮して引いてしまうくらいなら、しつこいと思われるくらい食らいつく方がいい。本気でやっていれば、しつこさは情熱として受け取ってもらえます。実際、そうやって関係を築けた人が何人もいます。
とにかくface to face、タッチポイントを増やす。 インターネットが普及して、オンラインでいくらでも繋がれる時代です。でも、だからこそ会いに行くことの価値が上がっている。チームの空気感、経営者の熱量、食事しながら生まれる本音。現地に行くことでしか動き出さないものが、何度もありました。
表現する、言い切る、批判を恐れず実行する。 特にクロスボーダーの世界では、遠慮は美徳になりません。インパクトを残して、覚えてもらう。そこからしか始まらない。
上場企業の中で新規事業を動かす難しさと面白さ、約1,600人の組織で物事を進める作法、そしてPR会社ならではの「伝える力」。モノの良さをどう伝えるか、という技術を、これほど濃く学べる場所は他になかったと思います。
経営へのコミットとして、入社直後から持株会に満額でフルで参加していました。当事者として同じ船に乗る。その感覚は、外から支援する立場では得られないものでした。
誘ってくださった共同創業者・長谷川元副社長、秋保役員。そして、創業から600億円を超える売上を作り上げた西江社長。最終出社日には西江社長にご挨拶に伺い、熱い握手をさせていただきました。本当にありがとうございました!

やり残したことがあるのは心残りですが、これからはベクトル出身者として、引き続き会社の名前を売り、仕事をご紹介し、またどこかで連携できるように、自分を磨いていきます。
次は、リアルな領域へ
これまで、IT領域は一通りやってきました。プラットフォーム、広告、クーポン、マッチング。起業も、スタートアップも、投資も、M&Aも、外資のカントリーマネージャーも。国内も海外も。
だからこそ次は、もっとリアルなものに触れたいと思っています。エネルギー、宇宙、実体のある産業。手触りのある世界で、もう一度挑戦してみたい。
振り返ってみると、登壇の回数よりも、フライトの数よりも、手元に残ったのは人とのご縁でした。どれだけテクノロジーが進んでも、大きな仕事は人と人との信頼の上にしか生まれないという当たり前の事実を、あらためて実感した2年3ヶ月でした。
ベクトル、ありがとうございました!