「聞こえない」という恐怖、海外出張中に訪れた緊急事態

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先月後半からは、ゴールデンウィークを利用して長期の海外出張に出ていました。
日本が連休になるこのタイミングなら、営業日を失わずに動ける。そう考え、まずは上海 → シンガポール → ペナン島 → シンガポールと移動し、そこからジャカルタへ向かう予定でした。

しかし、そんな慌ただしいスケジュールの中、思いもよらない“異変”が突然やってきました。

常に飛行機に乗っているような感覚

シンガポールに到着した直後、左耳が急に聞こえなくなったのです。
最初はフライトによる気圧の影響が残っているだけだろうと軽く考え、あくび、唾を飲み込む、鼻をつまんで息をゆっくり吐き出すなど、いわゆる「耳抜き」を繰り返しましたが、まったく改善せず。

そしてペナン島に飛んだ際には症状がさらに悪化。再びシンガポールに戻ったときには、左耳の聴力がほとんど失われた状態に。

主治医からの一言「すぐに病院へ」

さすがにこれはまずいと、日本の主治医に連絡を取りました。
そこで告げられたのは「突発性難聴の可能性があります。放っておくと取り返しがつかなくなります。今すぐ病院へ」

一気に血の気が引きました。海外出張中、しかも異国の地でそんな重大な可能性に直面するとは想像もしていなかったのです。急いでシンガポール在住の友人医師に連絡を取り、夜にもかかわらず信頼できる病院を紹介してもらい、シンガポール・ラッフルズ病院(Raffles Hospital)の救急外来へ駆け込みました。

驚異の24分スピード対応

病院に到着したのは19:30前。受付でパスポート情報などを伝え、順番待ちの番号を受け取ってからわずか5分後には診察へ。診察結果は「耳の炎症」。翌日に専門医の診察を受けるようにと言われ、薬を処方されました。

処方箋の薬をもらい、会計が終わったのが19:54
驚くほどスムーズで、まさに24分で完結。費用は137.90シンガポールドル(全額自己負担)でしたが、これだけ迅速に対応してもらえるのは非常にありがたい体験でした。

専門医との翌朝診察、そして検査の連続

翌朝9:30には耳鼻科の予約が取れており、9:30に到着後受付を済ますと、9:35にはすぐ診察スタート。日本ではなかなか見られないスピード感です。

担当医にはこれまでの経緯と症状を説明し、突発性難聴の可能性について確認をお願いすることに。まずはトーンオージオグラム(聴力検査)を実施。結果は正常値でしたが、検査前に看護師から「200ドルかかりますが、よろしいですか?」と確認され、明朗会計な運営に安心感を覚えました。

続けて、耳と鼻の状態をより詳しく見るために内視鏡検査を提案され、「両方やると400ドルになりますが、大丈夫ですか?」との確認。突発性難聴の可能性を完全に否定できなかったこともあり、迷わず「全部やってください」と即答しました。

結果的に10分ほどで600ドルが課金されましたが、診断結果は「耳の炎症が強く、風邪による鼻詰まりが耳にも影響していた」というもので、抗生物質と鼻の薬を数日間服用すれば改善するとのこと。ようやく少し安心できました。

2日目の費用は、検査も含めて989.00シンガポールドル(全額自己負担)。それでも「突発性難聴ではなかった」という診断結果に、正直ホッとしました。あとはクレジットカードの付帯保険が適用されることを祈るのみ。

処方箋の薬を受け取り、会計が終わったのは10:14。待ち時間はほとんどなく、全体で累計わずか10分程度。このスピード感と効率の良さには、正直驚かされました。改めて、日本の医療現場にもこうした効率性がもっと導入されてほしいと強く感じました。

そして回復、再び空へ

大量に処方された薬を飲み始めた2〜3日後には、症状が改善。ただし、ジャカルタ行きのフライトに乗った際には若干再発したものの、1週間のジャカルタ滞在を終える頃には、完全に回復しました。

聞こえるという「当たり前」が、当たり前じゃない

今回の経験を通じて、改めて痛感したのは──「音が聞こえる」ことの大切さと、自分の身体に敏感でいるべきという意識。仕事に追われる中で、健康を後回しにしがちな自分にとって、今回のトラブルは警鐘だったように思います。

健康な身体があってこそ、初めて良い仕事ができる。
当たり前のようで、つい忘れてしまうこの事実を、改めて心に刻んだ出来事でした。

突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)はある日突然、片方の耳の聴力が大きく低下または消失する原因不明の疾患です。通常は片耳のみに発症し、耳鳴りや閉塞感、めまいを伴うこともあります。原因は完全には解明されていませんが、ウイルス感染、ストレス、血流障害などが関与していると考えられています。
発症から早期(できれば48時間以内)の治療開始が非常に重要で、時間が経つほど聴力が戻らないリスクが高まります。「飛行機の耳詰まりかな?」と思って放置せず、少しでも違和感があればすぐに専門医を受診することが大切です。

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この記事を書いた人

ryoのアバター ryo 何でも屋

10年間にわたるフィリピン滞在を経て、上智大学・比較文化学部を卒業。学生時代から様々な事業の立ち上げに携わり、サラリーマン、起業、国内+外資系企業社長、取締役、顧問、株主などをスタートアップ及び上場企業で経験。

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