
先週末に友人の誘いで鮨屋さんに連れて行ってもらいました、2人とも”卒業”のタイミングで記念すべきタイミングになりました。笑
麻布十番の喧騒からエレベーターで6階へ上がると、そこは白い漆喰の壁に黄色い椅子が映える、驚くほど明るく穏やかな空間でした。鮨屋というと重厚な檜と静謐さを想像しますが、ここは違う。聞けば大将が「最上級の鮨を、くつろいで味わってほしい」と、実家のリビングをイメージして設えたのだそうです。エレベーターを降りてすぐの場所にワインセラーが鎮座しているのも、このお店ならではの光景でした。
以前は銀座有名店の2番手として個室で握っていて、2023年11月に独立!情熱大陸にも取り上げられたものの、独立後から予約困難店でしたので特にインパクトはなかったとのこと。笑
鮨職人を目指したきっかけは大学生の時にお父さんから鮨職人を目指すようにと言われてそのまま実行。まさに有言実行ですが、女性鮨職人として銀座有名店で2番手になるまで相当な努力と苦労が多かったことを想像します。実際、修業先の名店では体力的にも精神的にも限界を感じたこともあったそうで、「鮨なら腕一本で世界に通用する」という覚悟がなければ続かなかった10年だったのだと思います。
面白いのが、その途中でワインと出会っていること。修業先のひとつで香り高いワインの虜になり、なんと1年間フランスへ留学してソムリエ資格まで取得してしまう。鮨とワイン、どちらも極めるという選択がこの方の個性そのもので、店内には常時700本ほどのワインが揃っているそうです。シャンパーニュとブルゴーニュが中心とのことでした。

まぐろは修業先と同じ「やま幸」から。魚体の大きさよりも香りを基準に選んでいるという話が印象的でした。「繊細なものを食べ、水のきれいなところに棲む魚は香りがいい。同じ魚でも食べているものが違えば、魚体の香りは変わってくる」、素材を選ぶ基準が”香り”にあるというのは、ワインを深く知る人ならではの視点だと感じます。赤身も大トロも、口に入れた瞬間にふわりと立ち上がる香りがあって、噛むほどに旨みが広がっていく。シャリは酸をきりっと効かせながらも角がなく、優しく包み込むような味わいでした。「母の味のように優しい仕立てが好き」と語られるのも納得です。
情熱大陸で放映される際、連れて行ってくれた友人から案内があり事前にストーリーを見ましたが、お魚、食材、お酒(フランスに留学してソムリエ資格も取得)、空間、ルーツなどを大事にされ徹底的にこだわってオープンされたのを当日感じれました。器も、土物より繊細な磁器がお好みだそうで、有田焼のショープレートをはじめ名品が檜のカウンターに映えていました。
お店で一緒に働かれている方も多く、聞いてみると7名いて、親友やお姉さんも雇い、経営思想も独特+魅力的で、気づいたら増えてましたとのこと。笑 あと、高級レストランでもトイレ掃除や設備投資を渋るところがございますが、こちらのお店はTOTOの卵形ネオレストNX(おそらく)、50万円以上する高級トイレでした。細部まで行き届いたお店はやっぱり素敵ですね!
人それぞれ色々なお寿司の好みがあると思いますが、気遣いとこだわりがあり大変美味しくお寿司を頂けました。常にお客さんを見ていて、サービスがとても行き届いていて、じっと握る手元を見てたら気付かれて声掛けて頂いたりとサービス業のプロフェッショナルの極みを感じました。以前も世界におもてなし・ホスピタリティを輸出するべきだと思いましたが、改めて日本のホスピタリティとプロフェッショナリズムに圧倒されたディナーでした!
鮨の世界で女性が独立するのは、今でも決して簡単な道ではありません。それでも父の一言から始まった道を10年歩き、ワインという武器まで手にして、自分の店を持つに至った。江戸前の伝統を受け継ぎながら、そこに自分の感性を重ねていく。鮨という文化がこうして更新されていくのを目の当たりにしながら、「伝統は守るものではなく、更新し続けるもの」という当たり前の事実をあらためて実感しました。
また連れて行ってもらおうと思います、SAさんありがとうございました+次回も宜しくお願い致します!笑