先月16日、フットサル中にアクシデントが起きました。
シュートの瞬間、少しジャンプ気味にボールを蹴り、着地したその瞬間――右膝から「ポキッ」という音がして、激痛が走りました。
痛みで立ち上がれず、一度休憩。15分ほどで歩けるようになったためプレーを再開しましたが、再び激痛。今度は歩けないほどの状態に。
すぐに RICE処置(Rest:安静、Icing:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上) を行いましたが、痛みと不安定感は消えず、びっこを引きながら整形外科のある世田谷下田総合病院の緊急外来へ向かいました。
初日の日曜日:最初の診断と違和感
レントゲン検査後、触診による診断では「半月板損傷かもしれませんが、そのうち治るでしょう」とのこと。
「細かく診るならMRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像法)」とも言われましたが、その日は様子を見ることに。
しかし不安が消えず、月曜日に再受診しました。
月曜日:2人目の医師
同じ世田谷下田総合病院で別の医師に診てもらい、MRIの手続きをしていただきました。さらに松葉杖も貸してくれました。
疑問①
なぜ最初の医師は松葉杖を出してくれなかったのだろう?さらに膝への負荷制限の説明がないのか。
火曜日:MRI結果
右膝 前十字靭帯損傷(断裂)
Anterior Cruciate Ligament(ACL)
と診断されました。ACLは膝の安定性を保つ非常に重要な靭帯で、断裂すると自然に元通りには癒合しません。
色々と説明を受けましたが、
「詳細は水曜日に来る手術担当医に聞いてください」
とのこと。この時点で正直、最初の2人の医師に対する信頼感は揺らぎました。
疑問②
最初に言われた半月板損傷ではなかったのか?
ACL断裂直後は腫れや痛みで診断が難しいケースもあると後から知りました。
徹底的に情報収集(セカンドオピニオン)
病院から帰宅後、ネットでACL損傷について徹底的に調査。
選択肢は主に:
- 保存療法(放置)
- 装具療法
- 再建手術(国内外の事例)
- 海外ではHarvardやStanfordの事例も調査
装具療法に強い病院を調べ、予約を取りました。
水曜日:装具療法を求めて
複数の病院に電話して装具療法を順天堂大学が採用していると聞き、急いで来て下さいと言われ向かった病院では…
1時間以上待った後、
「装具療法はやっていません」
と看護師から言われました。
疑問③
電話で確認したのに、なぜ情報が一致していなかったのか?
医療現場でも情報共有のズレは起こり得るのだと痛感しました。
同日:世田谷下田総合病院で福島一雅先生と初対面
世田谷下田総合病院で福島一雅先生に初めて会いました。
再建手術の詳しい説明を受けましたが、正直なところ、私はできれば手術を避けたい気持ちが強くありました。
そのため、まずは装具療法の可能性を徹底的に検討したいと相談しました。
日本で装具療法を積極的に行っている医療機関として、
- 北九州市小倉南区の 九州労災病院
井原秀俊スポーツ整形外科部長 - 群馬県前橋市の 善衆会病院
木村雅史院長
に直接会いに行く決断をしました。
福島先生は私の「手術を避けたい」という意向を否定せず、まずは尊重してくださいました。
その上で、
- ギブス固定
- 膝に負担をかけない生活の徹底
を強く指示。ここが、それまでの診察との決定的な違いでした。
さらに、
- 最初の2名の医師の対応
- 順天堂大学での混乱
についても、感情的にならず、医学的観点から冷静に整理して説明してくれました。
医療現場ごとの専門性の違い、急性期診断の難しさ、情報伝達のズレなどを分かりやすく説明してもらい、初めて状況を客観視できました。
それまでの数日間は、
- 診断が変わる
- 対応が違う
- 情報が食い違う
という状況で、不安と不信感が強くなっていました。
しかしこの時、初めて
「理解力・知性・知識を兼ね備えた医師に出会えた」
と感じました。
完治への道のりは長いと分かっていながらも、この先生なら任せられるかもしれない――少しだけ、心が軽くなった瞬間でした。
疑問④
なぜ最初の2人の医師は、ギブスや負担制限を指示しなかったのだろう?
医師によって専門性や考え方が違うことを学びました。
群馬へ:装具療法の可能性を確認
木曜日、群馬県前橋市の善衆会病院を受診。
- 多方向レントゲン
- MRI再確認
- ラックマンテスト
- KT-2000(脛骨前方移動量測定器)
結果:
「断裂状態が悪く、装具療法は適応外」
約3時間掛かりましたが、色々な手法に関しての説明や相談に乗ってもらい非常に丁寧に説明を受けました。
最終的に「東京で福島先生に手術してもらうのが良い」と勧められました。
同時に装具療法ができるので予約してた福岡の九州労災病院はキャンセルしました。
最終決断:再建手術へ
理解力・知性・知識を兼ね備えた福島一雅先生を探して池袋のライズシティクリニックで再診。最新のエコー診断も含め確認し、最終的に手術をお願いすることに決めたのは、福島一雅先生。
ACL断裂は自然には治らないため、
- 自分の腱(ハムストリング)を採取
- 靭帯の代わりとなる移植腱を作成
- 関節内に移植固定
という方法になります。
当日は
- 専属リハビリトレーナーからの指導
- 装具士 永田英雄さんによる装具採型
も行いました。
福島一雅先生について
経歴
・日本大学大学院医学研究科博士課程卒業
・米国ピッツバーグ大学整形外科スポーツ医学センター客員研究員
・日本大学医学部整形外科講師、医局長、外来医長、教育医長
・NEC陸上部チームドクター
・Xリーグ鹿島ディアーズ チームドクター
・日本工学院八王子専門学校講師
・東京慈恵会医科大学救急医学講座講師
・Jリーグ東京ヴェルディ チームドクター
・ヴェルディ・クリニック 院長
資格多数:
医学博士、日本整形外科学会専門医・スポーツ認定医・リウマチ認定医・脊椎脊髄病認定医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本体育協会公認スポーツ医、日本リハビリテーション学会専門医、日本リウマチ学会専門医、厚生省義肢装具等判定医
海外と国内の治療法を熟知しており、私がネットで調べた内容にもすべて明確に答えてくださいました。
今回の学び
今回の怪我で、本当に多くのことを学びました。
1. 医師にも専門分野がある
「整形外科」と一言で言っても、
- スポーツ外傷に強い医師
- 高齢者医療が中心の医師
- 手術経験が豊富な医師
- 保存療法を得意とする医師
それぞれ専門性が大きく異なります。
“整形外科医=誰でも同じ”ではない。適任の医師を探すこと自体が、治療の一部だと感じました。
2. セカンドオピニオンは本当に重要
診断が変わり、不安になった数日間。
もし最初の診断だけで終わっていたら、
今とは全く違う選択をしていた可能性もあります。
医療は絶対ではない。
だからこそ、納得できるまで確認することが大切。
3. 治療は「技術」だけでなく「相性」
治療は技術力だけでなく、
- 自分の仕事のスケジュールを理解してくれるか
- リハビリまで見据えてくれるか
- こちらの質問に誠実に答えてくれるか
そういった“相性”も非常に重要だと感じました。
ある医師に言われた言葉が印象的です。
「医療も会社と一緒。現場の営業部長やマネージャーに診てもらうのか、オペレーションから離れた社長や役員に診てもらうのかで、判断も結果も変わる。」
本当にその通りだと思いました。権威があり、論文を多く発表し、学会で有名な医師が、必ずしも臨床で優秀とは限らない。そして、それがそのまま「手術がうまい」ということとイコールでもない。
4. 有名な医師=最適な医師とは限らない
権威があり、論文を多く発表し、学会で有名な医師が、必ずしも臨床で優秀とは限らない。そして、それがそのまま「手術がうまい」ということとイコールでもない。アメリカでは専門医制度がより細分化されており、ACL再建手術のようなスポーツ外傷を専門に、ほぼ毎日のように同じ手術を執刀する医師も少なくありません。
実際、福島一雅 先生もアメリカでスポーツ医学の現場を経験されており、専門特化型の環境で研鑽を積まれていました。
一方で日本では、同じ整形外科医でも
- ACL再建
- 半月板縫合
- 肩や足関節の手術
- 脊椎や高齢者の外傷
など、幅広い症例を担当するケースも多いのが現実です。
ACL再建手術は全身麻酔で行われる繊細な手術であり、正確性とスピードの両立が求められます。当然ながら、経験数が多いほど手技は洗練されていく傾向があります。
例えるなら、
毎日チーズバーガーだけを作り続けている職人と、
毎日ハンバーガーもパスタもステーキも作っている料理人。
どちらが優れているかという話ではなく、特定の一品に関しては、毎日作り続けている人の精度が高くなるのは自然なこと。
今回の怪我を通して、「肩書き」や「知名度」だけではなく、
- どれだけその手術を日常的に行っているのか
- どれだけ症例数を積んでいるのか
という視点も非常に重要だと学びました。
医療もまた、ある意味で“職人の世界”なのだと実感しています。
1週間で15人以上に相談
この1週間は秒速で過ぎました。
- ネットで徹底的に調査
- 医師、理学療法士、トレーナー、大学教授など合計15人以上の医療関係者に相談
本当に多くの方に助けていただきました。
心から感謝しています。
その中で複数の方が福島一雅 先生を推薦。
さらに、福島先生と同じ手術室で実際に一緒に執刀されたドクターにも紹介していただき、デューデリジェンスとヒアリングができたことは非常に大きな安心材料になりました。
これは自分の中で完全に“投資判断”と同じプロセスでした。
ネットワークの力
ちょうど怪我の翌日、LinkedIn創業者Reid Hoffmanがパネルで話していた「ネットワークの重要性」。
まさにその通りだと実感しました。
紹介がなければ辿り着けなかった情報、医師、判断材料がありました。
現在の状態
現在は装具を装着しながら生活しています。
- 下り坂・階段は制限あり
- 日常動作は慎重に
- “倒けない”程度のお酒は許可(笑)
この2週間は病院を駆け回る日々でした。会社の同僚や知り合い、パートナー企業の皆さま、お客様には、メール返信の遅れやアポイント調整などでご迷惑をおかけしました。この場を借りてお詫びします。
来月、前十字靭帯の再建手術を受け、入院します。そこから本格的なリハビリ生活が始まります。
そして将来的には、1年半後にボルト除去(抜釘手術)まで続く長い道のりになります。まずはその第一歩です。
最後に
当初は診断が変わり、正直かなりブルーになっていました。
「本当に大丈夫なのか」「この判断で合っているのか」と、不安が消えない日々でした。
しかし、福島一雅先生は、
- 海外の治療法
- 国内の最新事情
- 私がネットで調べた細かい情報
そのすべてに対して、明確に、そして根拠を持って説明してくださいました。
一つひとつの疑問が整理されていき、感情ではなく“理解”で判断できるようになった瞬間、
「この先生に任せよう」
と腹落ちしました。
来月、手術を受けます。ここからが本番です。
今回の怪我で改めて感じたのは、
- 専門医を見つけることの重要性
- セカンドオピニオンの大切さ
- ネットワークの力
怪我自体はショックでしたが、多くの方の支えや紹介、アドバイスに本当に助けられました。自分で考え、調べ、納得して決断できたこと。それこそが、今回の怪我で得た最大の学びかもしれません。
しっかり治して、また全力でアクセルを踏めるように頑張ります。
前十字靭帯損傷(ACL)とは?
前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament)は、膝関節の中心にある重要な靭帯の一つです。
役割は主に次の2つです:
・脛骨(すねの骨)が前にズレるのを防ぐ
・膝の回旋(ひねり)動作を安定させる
ジャンプの着地、急な方向転換、ストップ動作など、スポーツ動作において特に重要な働きを担っています。
■ どのように損傷するのか?
ACL損傷の多くは接触プレーではなく、非接触型で発生します。
よくある受傷パターン:
- 急な方向転換(カッティング動作)
- ジャンプの着地失敗
- 急停止からの切り返し
- 膝が内側に入った状態での着地
受傷時には「ブチッ」という音や感覚を伴うことも多く、その後すぐに膝が腫れて体重をかけられなくなるケースが典型的です。
■ 症状
- 膝の腫れ(関節内出血)
- 膝の不安定感(ガクッと抜ける感覚)
- スポーツ復帰が困難
- 階段や方向転換時の恐怖感
特にスポーツを行う方にとっては「膝が信頼できない」状態になります。
■ 治療法
治療は大きく分けて2つあります。
① 保存療法(手術なし)
- 筋力強化
- リハビリ
- サポーター使用
日常生活レベルであれば可能な場合もありますが、スポーツ復帰を目指す場合は再建手術が一般的です。
② 再建手術
切れた靭帯は自然にくっつくことはほぼありません。そのため、自分の腱(ハムストリング腱や膝蓋腱など)を用いて新たに靭帯を作り直します。
手術後は:
- 6か月〜9か月で軽い競技復帰
- 9か月〜1年で本格復帰
が一般的な目安です。
■ なぜボルトを使うのか?
再建した腱を骨に固定するため、チタンや吸収性素材のボルトを使用します。
骨と移植腱がしっかり癒合するまで固定する役割を担います。
場合によっては、一定期間後に除去することもあります。
■ ACL損傷の怖さ
ACL損傷は「治る」怪我ではなく、再建して、長期リハビリで取り戻す怪我です。
また、損傷後は:
- 半月板損傷のリスク増加
- 将来的な変形性膝関節症のリスク上昇
といった長期的な影響もあります。
■ しかし、復帰は可能
近年は医療技術やリハビリの進歩により、トップアスリートも競技復帰しています。
大切なのは:
- 適切な医師の診断
- 正しい手術
- 計画的なリハビリ
- 焦らない復帰判断
ACL損傷は「治る怪我」ではなく、「再建し、取り戻していく怪我」です。焦らず、しかし確実に積み重ねること。そして、信頼できる医師と二人三脚で進むことが何より大切だと、私は実感しています。大きな怪我ではありますが、正しい治療と努力を続ければ、以前より強い身体をつくることも可能です。
