
先週、赤坂のベクトルオフィスでTechGALAのサイドイベントとしてStartup Growth Nightを開催しました。
本イベントは、Techstarsとベクトル(Vector)の共催で、スポンサーとしてIPPO、Persol Careerにご協力頂き、また後援として Endeavor、TAKEOFF Tokyo、Shibuya Startups のサポートのもと開催しました。
スタートアップ、VC、CVC、銀行、事業会社などが集まり、資金調達や事業連携、組織づくりについて議論する場として企画したイベントです。日本のスタートアップエコシステムを支える多様なプレイヤーが一堂に会する機会となりました。
結果として、金曜日の夜にも関わらず178名の応募に対して125名が参加。
スタートアップ、投資家、金融機関、支援機関など多様なプレイヤーが集まり、かなり密度の高いイベントになりました。
今回の特徴は、投資家や金融機関による「リバースピッチ」と、スタートアップの成長フェーズをテーマにしたパネルディスカッションです。
VC・銀行によるリバースピッチ
今回のイベントでは、ベンチャーキャピタル(VC)や金融機関がスタートアップに向けてピッチを行う「リバースピッチ」を実施しました。
通常はスタートアップが投資家にピッチする構図ですが、今回は逆。
投資家側から、
- どのようなスタートアップと組みたいのか
- どのような支援ができるのか
を共有してもらいました。
Techstars Tokyo 代表 兼 マネージング・ディレクター 白戸 勇輝氏

イベントのオープニングでは、本イベントの共催であるTechstarsの紹介が行われました。Techstarsは世界有数のスタートアップアクセラレーターで、主に創業初期の起業家を対象にグローバル規模で成長支援を行っています。
セッションでは、
- 世界最大級のプレシード投資家としての役割
- メンター主導のアクセラレーションプログラム
- 世界中の投資家・起業家ネットワーク
などが紹介されました。
また、Techstars Tokyoアクセラレータープログラムの募集案内も共有され、応募締切が5月6日であることも紹介されました。
日本から世界を目指すスタートアップにとって、グローバルネットワークへの入り口として重要なプログラムだと改めて感じました。
LINEヤフー株式会社 上級執行役員CGIO 兼 Z Venture Capital株式会社 代表取締役CEO In Joon Hwang・黄 仁埈氏

LINEヤフーグループのCVCとしての投資戦略や、スタートアップとの共創の取り組みについて紹介されました。
オールステージ投資を行うファンドの概要や、LINEヤフーの事業アセットとのシナジー創出、コミュニティを通じたスタートアップ支援など、CVCならではの価値について共有されました。
なお、In Joon氏にとっては今回が日本語での初登壇。
日本のスタートアップエコシステムへの期待や、グローバル視点での投資戦略について、日本語で直接語られたことも印象的でした。
Salesforce Ventures Principal 山中 翔太郎氏

Salesforceの戦略投資部門であるSalesforce Venturesの投資方針について紹介がありました。
B2B SaaS企業への投資や、Salesforceプラットフォームとの連携、AppExchangeを活用した事業拡大支援など、スタートアップの成長を後押しするエコシステムについて共有されました。
ソニーベンチャーズ株式会社 シニアインベストメントダイレクター 徳田 享将氏

ソニーグループのCVC(Sony Innovation Fund)としての投資活動について紹介されました。
DeepTech、エンタープライズSaaS、Fintech、ClimateTechなど幅広い領域への投資に加え、ソニーグループの事業との連携を通じたバリューアップ支援について説明がありました。
株式会社SBI新生銀行 ベンチャービジネス部 統轄次長 川合 隆行氏

スタートアップに対する金融機関としての支援について紹介されました。
顧客基盤を活用した事業拡大支援に加え、ベンチャーデットなどの多様なファイナンス手法について説明があり、資金調達の新しい選択肢としての可能性が共有されました。
三井住友信託銀行株式会社 成長企業支援部 副部長 山中 聡氏

スタートアップの成長ステージに応じた支援体制について紹介されました。
エクイティやデットによる資金調達支援だけでなく、
- 事業拡大
- 上場準備
- ガバナンス体制の整備
- 資本政策
- 資産承継
など、企業成長の各フェーズを支えるソリューションについて説明がありました。
パネル①:人が集まりイノベーションが生まれる空間とは?

登壇者:
- 株式会社IPPO 代表取締役社長 関口 秀人氏
- 株式会社CRAZY 代表取締役社長 森山 和彦氏
- モデレーター:株式会社ベクトル 海外戦略本部 兼 海外M&A本部 本部長 梅澤 亮
まず簡単に会社紹介から。
IPPOは、スタートアップ・ベンチャー企業に特化したオフィス移転コンサルティングを行う会社で、「居抜きオフィス」を活用した移転支援などを通じて、企業の成長フェーズに合わせたオフィスづくりをサポートしています。スタートアップにとって大きな負担になりがちな内装費や移転コストを抑えながら、スピーディーな移転を実現する仕組みを提供しています。
一方のCRAZYは、「人生が変わるほどの結婚式」をコンセプトにオーダーメイドのウェディングをプロデュースする会社として知られています。現在は表参道の結婚式場「IWAI OMOTESANDO」を中心に、結婚式だけでなく法人イベントやコミュニティ体験なども手掛け、人生の節目や人の関係性をデザインする事業を展開しています。
セッションでは、では、「空間」を単なる不動産やデザインの話に留めず、人の行動、感情、意思決定、そしてイノベーションの起点としての空間という視点から話をしました。
CRAZYはゼロから設計するウェディングやイベントという「人生の大きな意思決定」に寄り添う空間づくり。
一方でIPPOは、居抜きオフィスという制約のある環境の中で、企業の成長や変化を支える空間づくりをしています。
アプローチは違いますが、共通しているのは
「人を主語にした空間設計」
という点でした。
セッション自体はかなり盛り上がり、笑いも多く、終始リラックスした雰囲気で進みました。
特に印象的だったのは、
「空間は目的によって設計されるべき」という話。
例えば今日のイベント空間も、
もしここで漫才をやるとしたら、このレイアウトは全く適していない。
畳を置いたり、距離感を変えたりするだけでも、
空間が生み出す空気やコミュニケーションは大きく変わる。
そんな発想こそが、空間づくりには重要だという話がありました。

議論の中では
- 空間が人の行動や感情、コミュニケーションに与える影響
- 「うまくいく空間」と「停滞する空間」の違い
- 制約のある居抜き空間とゼロ設計の違い
- あえて「余白」や「未完成さ」を残す意味
などについても話が広がりました。
またイノベーションの観点では
- 偶発的な出会いが生まれやすい空間とは何か
- 逆にイノベーションを阻害してしまう空間の条件
といったテーマにも触れました。
リモートワークやAIが広がる中で、
「人があえて集まる空間」の価値はむしろ高まっている。
オフィスやウェディングという領域を超えて、
これからの空間は人の挑戦や意思決定を後押しする場になっていく。
そんなことを感じる、とても面白いセッションでした。
単なるオフィスや不動産ではなく、
人の行動や感情、意思決定を促す場としての空間という視点が非常に印象的でした。
パネル②:CxOはどう迎える?雇用と外部活用、成長フェーズの最適設計

登壇者:
- パーソルキャリア株式会社 タレントシェアリング事業部HiProCX統括部 HiProDirect ClientSuccess部HiProDirect Client Success for Startupグループマネージャー 岩田 康平氏
- ニッセイ・キャピタル株式会社 シニアキャピタリスト 堀田 芽ノ世氏
- モデレーター:株式会社ベクトル 海外戦略本部 兼 海外M&A本部 副部長 船戸 麻美子
まず簡単に会社紹介から。
パーソルキャリア(Persol Career)は、総合人材サービスを提供するパーソルグループの中核企業で、人材紹介やキャリア支援だけでなく、近年はプロ人材や副業人材を活用したタレントシェアリング事業にも力を入れています。今回登壇頂いた岩田氏は、スタートアップ向けに外部CxOやプロフェッショナル人材の活用を支援する取り組みを担当されています。
一方のニッセイ・キャピタル(Nissei Capital)は、日本生命グループのベンチャーキャピタルとして長年にわたりスタートアップ投資を行ってきたVCです。多くのスタートアップを見てきた投資家の視点から、組織づくりや経営チーム構築についての知見を共有頂きました。
今回のセッションでは、スタートアップの成長フェーズごとに、CxOをどう迎えるべきかというテーマについて議論しました。
議論の中では、
- CxO採用でつまずきやすいポイント
- 外部CxOやプロ人材の活用方法
- 雇用に切り替えるタイミング
など、スタートアップの成長フェーズごとに必要な組織設計について具体的な意見が交わされました。
まず話題になったのは、スタートアップにおけるCxO人材活用の難しさです。
投資家の視点からは、スタートアップがCxO採用でつまずく理由として
- 求める役割が曖昧なまま採用してしまう
- フェーズに合わない人材を採用してしまう
といったケースが多いという話がありました。
また現場の視点では、スタートアップの多くが
「いきなりフルタイムCxOを採用するべきか」
「まず外部のプロ人材を活用するべきか」
「そもそも外部のプロ人材を十分に活用しきれるのか」
という悩みを抱えているという話もありました。

そこで議論になったのが、外部CxOの活用です。
例えば
- マーケティング
- ファイナンス
- HR
などの領域では、まず外部のプロフェッショナル人材を活用しながら組織を立ち上げ、
その後フルタイムCxOを採用するという方法も有効だという話がありました。
また、雇用に切り替えるタイミングはいつかという点についても議論がありました。
外部人材の活用は柔軟性が高い一方で、
事業がスケールしてくると組織の中心に立つ人材が必要になります。
つまり、外部CxOとフルタイムCxOをどう組み合わせるかという設計が、スタートアップの成長にとって重要だという点が印象的でした。
これからCxOを迎えようとしているスタートアップにとっても、組織フェーズに合わせた人材戦略を考える良いヒントになるセッションだったと思います。
スタートアップの成長において、
資金調達と同じくらい重要なのが「誰と経営チームを作るか」。
そんなことを改めて感じるディスカッションでした。
PRの次の主戦場、ショート動画

イベントの最後には、私からクロージングとしてベクトルの取り組みについても少し紹介しました。
ベクトルは現在、ショート動画領域にフルベットしています。
ここ数年、PRやマーケティングの世界では大きな変化が起きています。
テレビ、記事広告、SNS投稿といった従来型のコミュニケーションに加え、ショート動画がメディアの中心になりつつあるという流れです。
実際に、
- TikTok
- Instagram(Reels)
- YouTube(Shorts)
などのプラットフォームを中心に、ユーザーの可処分時間は急速にショート動画へシフトしています。
企業の情報発信も、これまでの「文章や静止画中心」から、
短い動画で伝えるコミュニケーションへと大きく変わり始めています。
ベクトルとしても、PR会社としての強みを活かしながら、
ショート動画を起点にした新しいコミュニケーション戦略の構築に取り組んでいます。
スタートアップを含め、多くの企業にとって、
ショート動画はブランドやプロダクトを広げる新しいインフラになっていくはずです。
もしショート動画の活用やPR戦略にご興味がある方がいれば、お気軽にご連絡頂ければと思います!
ネットワーキング

投資家、起業家、企業、金融機関が立場を越えて交流し、
資金調達、事業連携、採用など具体的な話があちこちで生まれていました。
イベントの価値はコンテンツも重要ですが、
最終的には人と人がつながることだと思っています。
日本のスタートアップエコシステム
イベントを通じて改めて感じたのは、
日本のスタートアップエコシステムに関わるプレイヤーの層が確実に厚くなってきているということです。
VC、CVC、金融機関、アクセラレーター、コミュニティ、そして起業家。
それぞれが異なる立場から関わりながら、資金調達、事業連携、組織づくりといったテーマについてオープンに議論する機会が増えてきています。
こうした場から新しい出会いや次の挑戦が生まれ、日本のスタートアップエコシステムがさらに発展していく。
Startup Growth Nightも、そうした循環を生み出す場の一つになればと思っています。