
実はBang & Olufsenというブランドに初めて惹かれたのは、まだ学生の頃、ある日友人の家で見かけた1996年に登場したBeoSound 9000です。このモデルは、6枚のCDを縦に並べて収納し、ガラス製のカバー越しにディスクが見える独特のデザイン、その圧倒的な存在感と音の豊かさに、ただただ圧倒されました。
もちろん当時は、学生の自分にとって手が届く存在ではありませんでしたが、どこか“憧れ”の象徴のように心に残りました。ヨーロッパの高級車に乗ったときにさりげなく目にするBang & Olufsenのロゴを見るたびに、「いつかは」と思っていたあの頃。それが最近では、より手に届く価格帯とサイズ感のモデルが登場し始め、少しずつその“憧れ”が現実に変わってきています。
大学時代には、Bang & Olufsenには手が届かなかったけれど、代わりにイギリス製のB&W CM7を購入し、満足していたのを思い出します。そして今回、ついにBeoSound Emergeをゲット!
オーディオ機器において、”音が良い”というだけでは、もう十分ではないのかもしれません。
特に、日々の暮らしに自然に溶け込むようなプロダクトを求めるなら、その佇まいや存在感もまた、大切な要素になってくる。BeoSound Emergeは、まさにその「音と美」のバランスを丁寧に追求した一台。目に映る姿も、耳に届く音も、暮らしの質を静かに、でも確かに引き上げてくれる存在です。
一見すると、それは本棚に収められた一冊の装丁の美しい書物、幅約6.7cmというスリムなフォルムは、デスク脇にも、キッチンの一角にも、そして読書用のチェアのそばにも、違和感なく収まる。しかし、いざ音を鳴らすと、その控えめな外観からは想像できないほどの音の広がりと深みが空間を満たす。
特徴的なのは、その素材選び。オーク材のサイドパネルに、Kvadrat製のファブリック、そしてアルミのアクセント。
どこか北欧の家具に通じる、静けさと緊張感のある質感があります。操作はすべて上部のタッチパネルで完結し、専用アプリを使ってその他の操作を実施。まさに、存在するけれど邪魔をしないデザイン。
BluetoothやAirPlay 2、Chromecastにも対応していて、SpotifyやApple Musicとの連携もとてもスムーズ。
最近はラジオを聴く習慣がなくなっていましたが、唯一よく使うのが、Bang & Olufsenのアプリに搭載されたラジオチャンネル。クラシックやアンビエントも揃っていて、プレイリストを選ばなくても、このスピーカーから自然と流れる音に身を委ねる時間がとても心地よく感じます。
暮らしの中で「音の質感」が変わるだけで、空気の流れや、自分の思考までもがふっとやわらかくなる。そんな感覚を、最近あらためて実感しています。
BeoSound Emergeは、オーディオとしては高価かもしれないですが、空間との調和や、音に触れる体験そのものを大切にしたい人には、確かな価値があると思います!